会社の方針転換や非違行為を行ったこと、あるいは経営状況の悪化など、企業を経営している場合には、従業員を解雇せざるを得ない場面に直面することはありうると思います。

そのような場合に、経営者としては自由に解雇したいと思うでしょうし、自由に解雇できるのが経営者にとっては望ましいと言えます。

しかし、経営者と労働者では、情報や交渉力に格差があることから、日本の労働法制では、解雇は厳格に規制されて居rます。

本コラムでは、人事労務に精通する法律事務所の視点から、解雇規制について解説します。

雇用契約と解雇 

雇用契約 

一般に雇用契約と呼ばれている労働契約は、労働契約法という法律に規定されています。

(労働契約の成立) 第六条 労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。

 このように労働契約は、労働者は、使用者に労働を提供し、使用者は労働者に対して労働の対価としての賃金を支払うことを内容とする契約です。

解雇

解雇とは、雇用契約を使用者側の判断で一方的に終了させることを言います。

これについても、労働契約法という法律で規定されていますが、上記の通り、労働者を保護する観点から、解雇に関しては厳格な規制が設けられています。

(解雇) 第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

この規制は厳格に規定されていますが、最終的には、裁判所において判断されることになります。

解雇が法により禁止されている場面

上記の解雇は有効無効が裁判所により判断されることになりますが、解雇が禁止される場面もあります。

これを厚生労働省のHPから抜き出します。

労働基準法による規制

・業務上災害のため療養中の期間とその後の30日間の解雇
・産前産後の休業期間とその後の30日間の解雇
・労働基準監督署に申告したことを理由とする解雇

労働組合法による規制

・労働組合の組合員であることなどを理由とする解雇

男女雇用機会均等法

・労働者の性別を理由とする解雇
・女性労働者が結婚・妊娠・出産・産前産後の休業をしたことなどを理由とする解雇

育児・介護休業法

・労働者が育児・介護休業などを申し出たこと、又は育児・介護休業などをしたことを理由とする解雇

解雇を検討する場面の具体例

会社が解雇を検討せざるを得ない場面には、主に以下のような具体例が挙げられます。

非違行為(就業規則違反・背信行為)

非違(ひい)行為とは、法律や会社の就業規則に違反する行為、または会社との信頼関係を根本から破壊する悪質な行為を指します。これらは会社の秩序や信用を守るため、「懲戒解雇」(または重い普通解雇)の対象として厳しく対処されます。

①犯罪・不正行為: 会社の資金横領、経費の不正受給、備品の窃盗、取引先からの不正なキックバックの受領など。
②機密情報の漏洩: 顧客情報、営業秘密、新製品のデータなどを競合他社や外部(SNSなど)に漏洩させる行為。
③重大なハラスメント: パワハラ、セクハラなどにより、被害者の心身を傷つけ、職場の環境を著しく悪化させた場合。
④重大な経歴詐称: 採用の判断を左右するような重要な経歴(犯罪歴、必要な資格、最終学歴など)を偽っていた場合。
⑤業務命令への重大な違反: 正当な理由なく、上司からの業務指示や配置転換を頑なに拒否し続ける行為。
⑥著しい勤怠不良: 無断欠勤を長期間繰り返す、注意されても遅刻や早退を日常的に繰り返すなど、労働契約の基本を満たさない場合。

能力不足(成績不良・適格性の欠如)

①著しい成績不良: 営業ノルマなどの明確な目標に対して、長期間にわたり著しく未達が続き、他の従業員と比較しても極端に成果が低い場合。
②業務遂行能力の欠如: ミスが非常に多く、何度指導しても改善されないため、任せられる業務がない場合。
③専門職・管理職の期待役割未達: 「即戦力のエンジニア」「マネージャー」など、高い給与と引き換えに特定のスキルや役割を期待して採用(中途採用など)したにもかかわらず、その水準に全く達していない場合。
④協調性の欠如(能力としての適格性): 意図的な嫌がらせ(非違行為)ではなくとも、コミュニケーション能力の著しい偏りなどにより、チームでの業務進行に常に支障をきたす場合。

会社の経営危機(経営上の理由)

いわゆる「整理解雇(リストラ)」です。

①極度の業績悪化: 倒産を回避するために、どうしても人件費を削減しなければならない場合。
②事業の統廃合: 特定の事業所や部門を閉鎖することになり、そこで働く従業員を他の部署に異動(配置転換)させることも不可能な場合。

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の特徴

開設以来、数多くの法人破産、使用者側に関する案件・相談に対応してきた弁護士法人グリーンリーフ法律事務所では企業法務チームを設置しています。 

非違行為を行った労働者にお悩みであったり、解雇を検討していたり、あるいは経営状況の悪化から従業員の解雇を検討したいという場合には、ぜひ、弊所の労使相談や顧問契約をご検討下さい。

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この記事を書いた弁護士:弁護士 野田 泰彦

労働問題(使用者側)

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所所属、埼玉弁護士会所属の弁護士。
2009年弁護士登録後、契約書チェックや債権回収、財産開示、削除請求などの企業法務や、労使問題に従事。
埼玉弁護士会スクラム相談所運営協議会事務局長、埼玉県よろず支援拠点コーディネーターなど、外部での中小企業向け法律相談も担当しており、日常的に中小企業や中小企業に関係する法律問題に接している。