
企業経営において、従業員との労働トラブルは突発的に発生し、対応を誤ると経営基盤を揺るがす大きなリスクとなります。本コラムでは、よくあるトラブル事例や発生時のリスク、そして未然に防ぐための具体的な対策について解説をいたします。
1. よくある労使トラブルの事例

多くの企業で発生しがちなトラブルとして、以下のようなケースが挙げられます。
• 指導とハラスメントの境界線: 問題のある社員に対して業務指導を行ったところ、「パワハラだ」と主張される。
• 解雇の有効性: 不正行為などを理由に懲戒解雇を行ったが、解雇無効を主張される。
• 未払い残業代: 労働時間管理が曖昧だったため、過去に遡って残業代を請求される。
• 就業規則の不備: 規則を変更しようとした際、従業員から強い反発を受ける。
• 労働組合対応: 突然労働組合が結成され、団体交渉を申し入れられる。
2. 労働トラブルが企業に与える「4つのリスク」

労働問題がこじれ、紛争や訴訟に発展した場合、企業は以下のような甚大なリスクを負うことになります。
① 経営リソースの浪費
トラブル対応のために調査や書類作成が必要となり、経営者や人事担当者の時間と労力が奪われます。信頼していた従業員との争いは精神的な負担も大きく、本来の業務に支障をきたします。
② 生産性の低下と人材流出
トラブルが職場内に知れ渡ると、他の従業員に動揺が広がり、組織全体の生産性が低下します。職場の雰囲気が悪化することで連鎖的な離職を招いたり、SNS等での風評被害により新規採用が困難になったりする恐れがあります。
③ 経済的損失の増大
話し合いで解決せず裁判(民事訴訟)になると、弁護士費用などのコストがかさみます。また、敗訴した場合のリスクは非常に大きく、例えば解雇が無効と判断されると、解雇期間中の賃金支払いなどで1,000万円~2,000万円規模の支払いを命じられるケースもあります。 さらに、未払い残業代の請求で敗訴した場合、年14.6%の遅延損害金や、未払い額と同額の「付加金」の支払いが課される可能性があります。
④ 企業の社会的信用の失墜
トラブルの内容がSNSやインターネット掲示板に書き込まれたり、労働組合による街宣活動が行われたりすることで、企業の社会的信用が傷つけられるリスクがあります。
3. トラブルを未然に防ぐための予防策

こうしたリスクを回避するためには、日頃からの環境整備と正しい法知識が不可欠です。
① 雇用契約書・就業規則の整備
労働条件が曖昧だと、「言った・言わない」のトラブルになります。賃金、労働時間、退職・解雇事由、懲戒処分や服務規律などのルールを明確化した雇用契約書や就業規則を作成し、労使双方が安心して働けるルール作りを行うことが重要です。
② 法的根拠に基づいた手続きの徹底
「こちらの言い分が正しい」と思っていても、法律や就業規則に定められた適正な手続きを経ていない処分(特に懲戒解雇など)は無効となるリスクがあります。経営判断だけで突っ走らず、労働法に則ったプロセスを踏むことが不可欠です。
③ 最新の法改正とリスクの把握
労働法制は頻繁に改正されています。例えば、未払い賃金の請求権(時効)は当面の間3年(将来的には5年)に延長されており、一人当たりの未払い残業代リスクは従来の倍以上に膨らむ可能性があります。また、2023年4月以降は中小企業でも月60時間を超える残業の割増賃金率が引き上げられています。これらのリスクを正しく理解した上で経営判断を行う必要があります。
4. 弁護士による予防・解決サポート

労働問題は初期対応が肝心です。弁護士は以下のようなサポートを提供し、経営者を守ります。
• 労働条件の整備: 企業の実情に合わせ、法的リスクを抑えた就業規則や雇用契約書の作成・見直しを行います。
• 法的アドバイスと適正手続の支援: 懲戒処分や解雇、労働条件の変更が必要な場面で、法的に適正な手順をアドバイスし、無効リスクを最小限に抑えます。
• 代理人としての交渉: トラブル発生時には、経営者の代理人として従業員や労働組合、相手方弁護士との窓口対応を行います。これにより、経営者の精神的・物理的負担を大幅に軽減し、裁判等の深刻な事態への発展を防ぐよう尽力します。
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来35年以上の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。 企業が直面する様々な法律問題については、各分野を専門に担当する弁護士が対応し、契約書の添削も特定の弁護士が行います。まずは、一度お気軽にご相談ください。
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