解雇や残業代等の問題について従業員との間で紛争が生じた場合、当事者間の協議で合意に至ればよいのですが、主張の対立が激しく、なかなか折り合いがつかないというケースでは、従業員が紛争を裁判所に持ち込むということがあります。
従業員が労働紛争を裁判所に持ち込む方法については、大きく、労働審判と訴訟とに分かれます。

訴訟

従業員は労働審判を経由せずにいきなり訴訟を起こすこともできます。
訴訟は厳密な審理を前提に紛争に関する詳細な判断を行うものであるため、期日の回数に限定は設けられていません。
訴訟は基本的に主張書面のやり取りを行うことで進行し、当事者の言い分を法廷で確認する尋問という手続は、当事者の主張・立証が尽くされた訴訟の終盤で行われることになります。
訴訟の終結は和解か判決という形でなされ、判決については当事者双方が控訴することができます。

会社側の対応

従業員から訴訟を起こされた場合の会社側の対応を整理します。
対応の主な流れは労働審判の場合と大きく変わりませんが、審理の方法や進行速度が異なるため、各段階における対応の程度に差が出てきます。
裁判所から訴状や証拠とともに第1回口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状が届きます。
同書には、訴訟の第1回期日が開催される日時や従業員の訴えに対する会社の主張を記載する答弁書の提出期限が記載されていますので、それらの内容を確認します。
期日は1か月程度先に指定されることが多く、答弁書の提出期限は期日の1週間前とされることが多いです。
労働審判と異なり、初回の答弁書は従業員の訴えに対する結論部分のみ記載する(請求の趣旨に対する答弁のみ)という形でも許されます。当然のことながら、初回から詳細な答弁書を提出することもできます。
前者を選択した場合には、次回期日までに関係する従業員への事実確認や主張を根拠づける証拠の収集等を行った上で作成した詳細な反論書面を提出することになり、それ以降はしばらくの間、互いに反論書面を出し合うことになります。
当事者双方の主張が出尽くしたタイミングで、裁判所から和解の勧めがあるパターン、当時の状況について把握している人物の尋問を実施するパターン、その順番が前後するパターン等に派生していき、和解ができない場合には裁判所が判決を下します。
裁判所から和解の勧めがある場合、裁判官からその時点における心証が開示されることが多いのですが、裁判官によっては心証を明確にしない場合もあります。和解に応じるか否かは判決になった場合に予想される帰結を踏まえて検討することになります。

まとめ

ここまで従業員が労働紛争を裁判所に持ち込んだ場合の対応について解説してきました。
従業員が選択する手続により会社側の対応が異なる部分がありますので、従業員がいずれの手続を選択したかを裁判所から送付される書類から適切に読み取る必要があります。
裁判所の手続においては、関係者から聞き取った事実関係をもとに自身の主張を正確に書面に落とし込むという作業が必要となりますが、それを期日までに短時間で行うことは容易ではありません。
手続を弁護士に依頼し期日までに万全の準備をしようとする場合、裁判所から書面が届いたタイミングで弁護士の選定を始めるくらいのスピード感が要求されます。
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所では会社側の労働紛争の経験豊富な弁護士が多数在籍しております。
会社にとってベストな解決方法を一緒に考えていきますので、従業員との労働紛争でお悩みの場合には是非一度ご相談ください。

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