紛争の内容
元従業員が、依頼会社様に対して、退職後に、在職中の未払賃金等を請求する旨の内容証明郵便を送付してきました。請求額は、200万円を超えていました。
退職自体は円満に行われていたため、依頼会社様は大変驚いて、弊所にご相談にいらっしゃいました。

交渉・調停・訴訟などの経過
本件で主な争点となったのは、所定労働時間が何時間であったか、という点でした。
元従業員の雇用に関しては、雇用契約書等の雇用条件を確認できる書面が無く、依頼会社様と元従業員との間で主張に隔たりがありました。
そこで、依頼会社様は弊所に交渉を依頼し、弁護士から元従業員の主張は通常では考えにくく不自然であること等を指摘して、交渉を開始しました。

本事例の結末
 結果として、ご依頼から2ヶ月程度で、元従業員の請求額の約50%にあたる金額で和解することができました。
 おそらく、元従業員側も自身の主張の弱点を認識して、大幅に減額した金額での和解もやむを得ないと判断したのだと思われます。

本事例に学ぶこと
 本件は、上記の通り、雇用条件を確認できる書面が無く、依頼会社様もある程度不利な立場にありました。このような状況でしたので、労働審判あるいは訴訟となった場合には、労働法制が労働者保護の色彩が強いことも相まって、依頼会社様に不利な判断がなされる可能性もありました。
加えて、主張に隔たりがあったため、労働審判等に移行した場合には、証拠・資料集め等も含め、相当の応訴負担が予想されました。例えば、本件では2ヶ月程度の交渉で事件終了となりましたが、労働審判に移行するとすればさらに3ヶ月~半年程度、その後訴訟ともなればさらに1年以上かかることも予想されました。
本件では、依頼会社様にこれらのリスク・ご負担をご説明差し上げたところ、一定程度の金額を支払ってでも交渉段階で和解に至ることにもメリットがあるとの方針になったため、上記和解に至ることになりました。
ただし、審判や訴訟に移行して争う方が良いのか、早期の和解で終わらせる方が良いのかは、ケースバイケースであり一概に言えるものではありません。
事件の内容・性質、会社様のご事情等を含めて、どのような解決方法があるのか、そのメリット・デメリットはどうか等丁寧にご説明いたしますので、是非一度弁護士までご相談ください。