紛争の内容
元従業員が退職後に、依頼会社様に対して、弁護士を立てて2年分の未払い残業代及び遅延損害金を請求してきました。請求金額は合計で約270万円であり、対応されない場合には、前記金額に付加金(労働基準法114条。最大で、未払いの賃金等と同一額になります。)を加算した金額を請求する労働審判の申立てあるいは訴訟の提起を行うことを予告してきました。
交渉・調停・訴訟などの経過
元従業員主張の就業規則等の解釈には疑義があり、残業の有無・程度にも争いがあるところでした。しかし一方で、タイムカードや業務履歴を確認すると、元従業員が全く残業を行っていないとも言い切れない状況でした。
このような状況でしたので、労働審判あるいは訴訟となった場合には紛争が激化し、解決まで時間がかかり、審判や訴訟のための証拠・資料集め等も含め、相当の応訴負担が予想されるところでした。
本事例の結末
依頼会社様に対し上記の状況やリスクのご説明を差し上げたところ、早期解決を第一とするとの方針になりましたので、労働審判や訴訟に至る前の交渉段階で和解に至れるよう、元従業員の代理人と交渉を重ねました。
交渉の中でこちらの主張の根拠と早期和解のメリットを示すことにより、元従業員から譲歩を引き出すことができ、労働審判・訴訟提起前に、請求額合計の半額以下での和解を合意することができました。
本事例に学ぶこと
審判や訴訟に移行して争う方が良いのか、早期の和解で終わらせる方が良いのかは、ケースバイケースであり一概に言えるものではありません。事案の事情のみならず、会社の状況等も含めて、どのような対応をとっていくのか考えていく必要があります。