配置転換とは

従業員の配置の変更であって、しかも職務内容または勤務地が相当の期間にわたって変更されるものをいいます。このうち、勤務地の変更を伴うものが「転勤」と呼ばれるものです。

出向・転籍とは

出向とは、雇用先従業員としての地位を保持したまま、他企業の事務所において相当長期間にわたり、その企業の労務に従事させる人事異動のことです。
これに対して、転籍とは、企業との現在の労働契約関係を終了させて、新たに、他企業との間に労働契約関係を成立させ、その企業の業務に従事させる人事異動のことです。
今勤務している企業との労働契約関係が存続するのか(=出向)、終了するのか(=転籍)が大きな違いです。

配置転換を行う際に使用者(会社)が注意すべきこ


会社が行う配置転換が有効であるためには、次の3つの要件を満たす必要があります。
①労働契約上、配転命令権の根拠があり、かつその範囲内であること
②法令違反がないこと
③権利濫用でないこと

①労働契約上、配転命令権の根拠があり、かつその範囲内であること
まず、大前提として、就業規則や労働協約等の中に会社が配置転換を命じることができる旨の定めがあることが必要です(もちろん、配置転換につき、当該従業員の個別の同意があればそれによります)。配転命令権の範囲については、職種や勤務地が限定された労働契約であれば、その限定された職種・勤務地の範囲でのみ配置転換を命じることができます。
 
②法令違反がないこと
法律に違反する配置転換は無効です。
例えば、従業員の思想信条を差別するものである場合や、当該従業員の組合活動の妨害を目的として行われる場合です。

③権利濫用でないこと
権利濫用にあたるかどうかは、最高裁判決が次のような判断基準を打ち出しており(昭和61年7月14日「東亜ペイント事件」判決)、これをひとつのメルクマールとして考えていくことになります。
ア 人員配置の変更を行う業務上の必要性の有無
イ 人員選択の合理性
ウ 配転命令が他の不当な動機や目的(例えば、嫌がらせによる退職強要など)をもってなされていないか
エ 配置転換が労働者に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものかどうか
オ その他上記に準じる特段の事情の有無(配置転換をめぐるこれまでの経緯、配置転換の手続きが適正かなど)

とくに近年では、育児介護休業法第26条が、配置転換を行う際には労働者の子の養育または家族の介護状況に配慮しなければならないと定めていることから、使用者としてはこの点についても注意を払わなければなりません(上記エの基準を満たさず、権利濫用であると判断されるケースが増えています)。

出向・転籍を命じる際に使用者(会社)が注意するべきこと

出向は、①労働契約上、出向命令の根拠があること、②法令や就業規則等に違反しないこと、③権利濫用でないこと、を満たす場合に有効となります。会社にとっては、人員削減を主たる目的として出向を命じる場合もあり得ますが、この場合であってもこれら3つの要件を満たしているか慎重に検討する必要があります。

転籍は、「現在の労働契約関係の合意解除+新たな勤務先との労働契約締結」と「使用者の地位の譲渡」の2つの方法が考えられますが、どちらの方法を取るにせよ、当該労働者の個別の同意がなければ無効です。

ご依頼いただいた場合

従業員から、会社の命じた配置転換・出向・転籍が無効であるとして争われた場合(交渉や労働審判、従前の職種・勤務場所における地位確認請求訴訟など)、会社側の代理人としてそれらに応訴・対応します。これまで述べてきたような各人事異動の有効要件を満たしているか、事情を詳細に聞き取りながら判断し、会社にとってどのように対応するのが最善かを考えていきます。

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