事案の概要
職場のルールを軽視し、事あるごとに上司と対立していた従業員を勤務態度不良として解雇したところ、数日後に代理人弁護士から解雇無効を主張する内容証明郵便が届き、その後、復職と解雇期間中の賃金請求を求める労働審判が申し立てられたということでしたので、労働審判事件の代理人として受任しました。

交渉・審判の経緯
労働審判事件では会社側の準備の猶予があまりないため、早速、当該従業員の上司等から当時の状況の聴き取りを行いました。
聴取結果を踏まえ、反論書面では、当該従業員が自己の都合のよいように会社のルールを解釈し、それに対する指摘を受けると声を荒げ上司に食って掛かっていた等の具体的な事情を指摘し、当該従業員を雇用し続けたのでは他の従業員に悪影響が及び職場環境を維持できないため解雇としたものであり、解雇は有効である旨の主張を行いました。
他方、会社としては条件が折り合うのであれば早期の解決をしたいという希望を有しており、元従業員側も必ずしも復職を望むわけではないということであったため、労働審判期日では主として和解条件の調整がなされました。

本事例の結末
当初、元従業員は1年間の賃金支払いを求めていましたが、労働審判委員会を介した交渉の結果、6か月分の賃金支払いを行うことを条件に退職を認める旨の和解が成立し、当該和解成立により事件終了となりました。

本事例から学ぶこと
会社が従業員を解雇することは容易には認められませんので、解雇に伴い、その有効性を争われるケースが多くなっています。解雇の有効性を支える事情が多くないという場合には、早期解決のため、一定の金銭を支払うことにより労働関係を解消するということも合理的な選択肢の一つになるものと思います。